林
プロフィール
作品
プレス
メール
オフィス
-
敷地は住宅密集地の路地の突き当たりにある。北側と東側の隣地は一段上がっていて、二方向を擁壁に囲まれている。くぼ地のようなこの敷地に、夫婦と子供のための住宅を計画した。
建物の構造は1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造である。建物の広さは容積率、高さは北側斜線によって無自覚にボリュームが決められている。そのような建物を敷地の中央に無造作に配置し、東西にそれぞれ庭を設けた。東側の庭は擁壁に囲まれていて、内部のような閉ざされた空間である。この方向に大きめの開口部を設け、庭での行いと室内での生活が視覚的に連続するようにした。一方西側の庭は、隣家の庭と路地からのアプローチに連続している。室内の西側は外部的な作業空間である土間を設け、庭と室内が連続して使用できるようにした。建物の外壁は周囲の家並みから目立たないように、ありふれた茶色の金属板を選んだ。
室内の間取りは、1階がリビングダイニングルームとキッチン、2階が寝室と水まわりとにわになっている。中央付近に階段を設け、間仕切り壁はなくオープンなプランである。にわは植物を育てたり物干をするスペースで、床は防水処理がなされている。植物に水をやるときに床が濡れるのを気にしにないで済むようにと考えたからだ。
この建物は、ばらばらに配置されたたくさんの光井戸を持つ。光井戸は皆同じ大きさの四角形の筒で、屋根を支える構造体でもある。1階では角度がそれぞれ違う光井戸が、人の見る向きにあわせて空を小さくばらばらに切り取る。光井戸の内部は太陽に対する方向の違いにより、ひとつひとつが違う雰囲気の光で満たされている。光井戸は2階を貫通していて、2階の空間の使い方や住人の動き方に働きかける。住人は光井戸の位置や角度をきっかけに、時々の気分や状況に合わせて家具を自在に配置し、生活に必要な領域をあいまいにつくっていく。
ここで森のような空間と草原のような空間を考えてみる。森にはたくさんの木が生えていて、人がそこで活動するとき木が行動のきっかけとなる。例えば子供たちの遊びを考えると、木に沿ってじぐざぐに走ったり、くるりと向きを変えたり、そこに身を隠してみたりといった具合に、木が遊びのルールを生み出していく。一方草原では、広くて障害物のない空間を全速力で走ったり、みんなで大きく小さく輪になったりして遊ぶことができる。ここでは広さが行動のルールを生み出している。今回の小住宅では、一見障害物でしかないような光井戸が森の木のように作用し、フレキシブルで自由な空間を生み出すさまを考えた。そしてそのことが住人の生活に楽しさを与えることができればよいと思った。
-
ライトウエルハウス
建築地:京都府京都市
設計監理:林敬一建築設計事務所 / 林敬一
施工:木村工務店
設計期間:2006年 6月~ 2007年 6月
工事期間:2007年 6月~ 2007年11月
主要用途:住宅
敷地面積:111.67㎡
建築面積:45.58㎡
延べ床面積:89.28㎡
階数:地上2階建て
構造:木造、一部鉄筋コンクリート造
構造設計:下山建築設計室 / 下山聡
撮影:平井美行
-
あの「温泉ソムリエぐっち」がお風呂に入りに来ました。
撮影:多田ユウコ